お茶コラム:緑茶の産地

日本茶鑑定士・日本茶インストラクターによるお茶コラム。
今回は「緑茶の産地」。

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緑茶の産地

掲載日:2009年11月13日

平成16年度 全国お茶(荒茶)生産高(10万700トン)

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静岡県が長い間生産量第一位です。ただし鹿児島県が急成長。1位の静岡県を追う形になっています。以下第3位三重県 第4位宮崎県 第5位京都府 第6位奈良県 第7位福岡県 8位佐賀県 第9位熊本県 第10位長崎県となっておりBEST10の中で九州が6県を占めています。


<緑茶の代表的産地のご案内紹介>

鹿児島茶
鹿児島県(全国生産量第2位)

日本一早い新茶の産地で、鹿児島本土では4月上旬より、走り新茶の島物(種子島などの島で取れるお茶)は3月下旬より茶摘みが始まります。温暖な気候を生かしいろいろな品種が栽培されている緑茶の宝庫です。日本で最も多い、やぶきた品種は全国のほとんどの産地で80%を超える比率で生産されていますが、鹿児島では半分の42%の比率しかありません。いかにその他の品種が多いかお分かりいただけると思います。鹿児島のお茶は南国の強い太陽を浴び、味にコクがあり、濃厚な旨みがあります。かぶせ化(上に藁などのおおいをして育てる)が進み水色も深みがある濃い緑色のお茶が多いです。

八女茶(やめちゃ)
福岡県(全国生産量第7位)

栄林周瑞禅師が筑後国鹿子尾村(今の八女郡黒木町笠原)に霊厳寺を建立し、明国から持ち帰ったお茶の種子をまいてお茶の製法を伝えたのが始まりといわれています。長崎で外国人貿易商による九州のお茶の取引が行われたことで、八女茶の生産が急激に増加しました。八女茶は全国的にも高級産地として有名で、甘く芳醇な香りとまろやかでこくのある味は全国の幅広い皆様に支持をされています。

嬉野茶(うれしのちゃ)
佐賀県(全国生産量8位)

明から渡来した中国の陶工が陶器を焼きながら、自分たちが飲むために茶の栽培を始めたのが嬉野茶の始まりだといわれています。また、佐賀県の脊振山は宋より帰途した栄西禅師が、日本で初めて茶の種をまいた、日本茶の発祥の地としてあまりにも有名です。嬉野茶のルーツである、釜炒り手揉み茶は明時代に中国から伝来した製法を、そのまま現代に伝えています。嬉野茶はこの釜炒り手揉み茶と煎茶の長所を併せ持った蒸し製玉緑茶として生産されています。古い歴史と新しい技術が生み出した優れた銘茶が嬉野茶です。

宮崎茶
宮崎県(全国生産量5位)

江戸時代の文献『三国名勝図会』には県南部・都城の茶の記述が残っています。『霧島山の大麓にして、渓谷多く、雲霧常に深く、古来都城は霧海ともいう。故に茶の品上好なり。』江戸の頃から、茶の栽培に適した都城茶はその名声を広めていたようです。北の高千穂では、鉄釜を使った昔ながらの釜炒り茶が残っています。香ばしく、さっぱりとした味のお茶で、食事の後にも適したお茶です。

本山茶(ほんやまちゃ)
静岡県(全国生産量1位)

静岡茶の発祥は、北部の安部川流域とその支流の藁科川流域の山間地域にあります。今から800年ほど前(1237年)宋の国より茶の実を持ち帰った聖一国師により、この地域にお茶がもたらせれました。この静岡茶発祥の地域のお茶は『本家本元』という意味で『本山茶』と呼ばれるようになりました。本山茶は山間地茶特有のさわやかな香りが高く味にはこくがあり上級茶として愛用されています。徳川家康公は本山茶をこよなく愛し、その後も代々将軍ご用達のお茶として指名されました。

宇治茶(うじちゃ)
京都府(全国生産量4位)

鎌倉時代に栄西禅師より茶種を譲り受けた明恵上人が、京都栂尾の地にまき、宇治など各地に植え広めたのが始まり。室町時代、足利幕府の奨励を受け宇治茶の名声が世に広まりました。
江戸時代中期に宇治田原湯屋谷の永谷宗円が蒸して揉み乾かす現在の煎茶製法(青製煎茶製法)を創案しました。宇治茶の製法は近年の静岡茶の深蒸しに比べ浅蒸しと呼ばれ、お茶を出す時の水色は黄色みをおびた緑色です。薄味ですが、のどを通るとお茶の旨みが広がり、すがすがしい香りを楽しむことができるお茶です。

北勢茶(ほくせちゃ)
三重県(全国生産量3位)

北勢地方の茶の歴史は古く、今から一千年もの昔、平安時代にさかのぼります。鈴鹿市の隣の四日市市の浄林寺の僧、玄庵が弘法大師直伝の製茶法を伝承し、茶樹を植栽したのが始まりとされます。江戸時代には、参勤交代のため東海道を往来する諸大名が茶を買い上げたことで、優れたお茶の産地となりました。ただし、今のように茶業が発展したのは横浜港開港後に茶が輸出作物になってのことです。品種は『やぶきた』が主流で、香り高い上質な『煎茶』と玉露の味わいを持つ『かぶせ茶』が中心の産地です。

大和茶(やまとちゃ)
奈良県(全国生産量6位)

大同元年(806年)に弘法大師が唐より帰朝の際、茶の種子を持ち帰り、宇陀に播種して製法を伝えたのが大和茶の始まりだといわれています。大和高原は、標高300m以上の高冷地で、お茶が育つぎりぎりの条件なので、お茶がゆっくりと育っていき、香りが高く、渋みの中に旨みが残る後味すっきりの緑茶です。

狭山茶(さやまちゃ)
埼玉県(全国生産量11位)

狭山茶が本格的に始まったのは江戸時代の中ごろからで、おもに江戸の人々にお茶が飲まれ始めるようになってからです。その後、横浜港開港とともにアメリカなどに輸出され、狭山茶は著しく発展しました。『色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす。』と狭山茶摘み唄にも歌われる、狭山茶の深い味わいは『狭山火入れ』という独特な仕上げ技術により、甘くて濃厚なお茶になるのです。

山科茶舗によるお茶コラム